連載3/「友達できるかな?」その不安が、最高の仲間と出会うきっかけに【大阪電気通信大学】
- odlabo
- 12 分前
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大阪電気通信大学では新入生ガイダンスの抜本的な見直しを行い、2025年度より授業開始をこれまでより1週間遅らせ、学科単位で大学適応をスムーズにするためのさまざまな取り組みが行っておられます。これを機に、総合情報学部情報学科では、新入生の大学生活への適応を円滑にするため、弊社のチームビルディングプログラム『自己の探求』を実施していただきました。前回のインタビューでは、学科主任の升谷 保博先生(総合情報学部 情報学科 教授)にお話をお伺いしましたが、当の学生たちはどのように感じたのか?今回は、プログラムに参加した総合情報学部情報学科の1年生、SさんとIさんにインタビュー。入学直後でお互いに面識のない学生たちが、様々なワークショップを通じて互いを知り、コミュニケーションをとるこのプログラムは、彼らの大学生活にどのような影響を与えたのでしょうか。入学前の不安、プログラム体験で感じたことや交友関係の変化について、率直な思いを語っていただきました。

―― まずはお二人が、大阪電気通信大学に入学した理由からお聞かせいただけますか?
Sさん 高校時代は文系でしたが、情報の授業でExcelをさわったりしたのが面白くて、情報分野に興味を持つようになったんです。就職にも強くて、専門的に情報系を学べる環境を求めて大阪電気通信大学を選びました。
Iさん 私は家でパソコンやWi-Fiの設定などを任されるうちIT分野に関心を持つようになり、大阪電気通信大学の付属高校の理数工学クラスに進学しました。高校の授業でプログラミングの楽しさに目覚め、本格的に学ぶため内部進学したんです。
―― 次に大学入学前の気持ちについて、楽しみだったことや不安だったことなどがあれば教えてください。
Sさん 大学はいい意味で、だいぶ自由なところっていうイメージをもっていました。ですが、友人関係をうまく築けるかどうかが、自分にとってはかなり気になっていたことでした。知り合いがほとんどいない状態だったので、ここで失敗したら、ずっと一人になってしまうんじゃないかという不安がありましたね 。
Iさん 内部進学だと、最初から友達がいると思われがちですが、仲の良かった友達は違う大学や別のキャンパスに進学してしまったので、私も「友達、できるかな」と思っていました 。
―― やはり、お二人とも友人関係が一番の不安だったのですね。4月に入り、新入生向けのチームビルディング研修が2日間あると聞いた時は、どう思いましたか?
Iさん 「何するんだろう?」「2日間も必要なの?」というのが正直な感想でした。でも、まあ遊べるならいいか、と結構軽い気持ちでいましたね 。
Sさん 僕は事前にグループワークだと聞いていたので、そこでみんなと馴染めるチャンスだと思って、すごく楽しみにしていました。高校時代も遠足や授業でグループワークをする機会が多かったので 。
―― 研修の中で、特に印象に残っていることは何ですか?
Sさん 宇宙船が不時着したとして、生存に必要なアイテムに優先順位をつけるワークが印象に残っています。僕のグループでは、下位のアイテムを何にするかで意見が真っ二つに分かれて、議論がかなり白熱しました 。最終的には、意見を交わしながら、みんなが納得できる方に決めました 。
Iさん 私もそのワークは印象に残っています。私のチームは、話し合う前の個人回答の平均点が一番低かったんです。でも、そこから全員で話し合ってチームの回答を出したところ、最終的に一番高い点数を取ることができました。出題者の意図は何か、という視点も取り入れながら、全員が納得するまで議論して。意見を聞いたり話したりするのは楽しいなと実感できた2日間でした。
―― その他、楽しかったことや覚えていることはありますか?
Sさん カードに書かれた情報をつなぎ合わせて、一枚の地図を完成させるワークも面白かったです。順調に進んでいたのに、最後の一言で状況がすべてひっくり返って。「やばい!」ってなりましたけど、そのこともよく覚えています 。
Iさん 私は、自分が大事にしている価値観を考えるワークも覚えています。友情、お金、愛など、人によって価値観が全然違うんです。「自分の中ではこれが普通」と思っていたことが、他の人にとっては全く違う。自分の常識が覆されたような感じでした。自分とは違う考え方に対して「この人やばいな」ではなく、「その考え方、いいね!」と思えたのが発見でした。
―― 研修の最後には、お互いにメッセージを書き合いましたね。どんなことを書かれていましたか?
Sさん 「ムードメーカーだね」と言われました 。自分でもそうあろうと意識はしていたんですが、うまくできているか分からなかったので、ちゃんとみんなに伝わっていたんだなと感じました 。
Iさん 私は場を回す役をしていることが多くて、あなたはどう?って聞いていく側になって、自分のことはあんまり話すことがなかったんですね。それで「リーダー気質があるね」「話の言語化がうまくて分かりやすかった」と書いてもらえました。一方で、「周りに話を振るだけで、自分のターンを忘れてるよ」とか「ちょっといじりすぎ(笑)」という指摘もあって。自分ではそんなに意識していなかったので、私にはそういう一面もあるんだなと発見できました。
――全体を通しての感想はいかがですか。来年の新入生にも、同じプログラムを体験してもらうとしたら、後輩に何か伝えたいことなどありますか。
Sさん 議論が白熱した分、お互いのことを深く知れました。仲良くなるのも早かったし、参加できてよかったです。僕は割とその時に同じグループになった人とも今でも関わっているので、それをきっかけにみんなと仲良くなっておけば学生生活にも困らないんじゃないかな。
Iさん 友達がいなくて不安な人もいると思いますが、この研修は知り合いができる良い機会になるはずです。あまり不安にならずに、その場の流れを楽しんでほしいですね 。
―― 研修で作ったグループの人たちとは、今も交流がありますか?
Sさん はい。今でも関わっています。スポーツ実習など他の授業でも近くに座ったりすることが多いので、関わりが増えて嬉しいです 。
Iさん 同じグループだった人たちとは、今もすごくしゃべります。そこからさらに交友関係が広がって、同じ教室にいた他のグループの子たちとも連絡先を交換したりして。この研修をきっかけに、友達が20〜30人くらい一気に増えました 。
―― それはすごいな。その体験は、授業や勉強にも活かされていますか?
Sさん はい。あまり関わりがなかった人にも話しかけやすくなりました。授業中に分からない問題を教えてもらったり、解説を聞いたりすることができるようになったのは大きいですね 。
Iさん 研修の課題もそうでしたが、大学の授業も一人では解けない難しい問題が多いんです。そういう時に、一緒に考えてくれる仲間がいるのは本当に心強い。「三人寄れば文殊の知恵」じゃないですけど、大学生活は仲間との助け合いが大事なんだなと実感しています 。
―― 最後に、これからの大学生活で挑戦したいことを教えてください。
Sさん もっと交流を増やしたいので、サークルに入ってみたいです。それと、少し単位が危うい科目があるので、しっかり勉強してちゃんと進級していきたいですね(笑)。
Iさん 友達はもう作り尽くしたかな、というくらい広がったので、今ある関係を大切にしていきたいです。私は体調管理と勉強を両立させることに課題を感じていますが、資格取得には力を入れていきたいと思います。
※肩書・掲載内容は取材当時(2025年7月)のものです。

チームビルディングプログラム「自己の探求」には、SさんやIさんがおっしゃっていたような、話し合って答えを一つにしていくワーク(コンセンサス実習)や、グループで一つの課題を解決していく実習、互いの価値観について語り合える実習、などなどが、チームビルディングが進展して行くように配置されています。そのことが参加者の自己理解、相互理解を深めていき、また場の安心感が生まれることにつながって行っているように見えます。
最近“場の安全性”と言う言葉をよく耳にしますが、チームビルディングプログラム「自己の探求」のような良く練られた計画的なプログラムを、一見すると何もしていないように見えるファシリテーターが扱うことで、参加者自らが場の安全性を築き上げていく。そういう形が一つの理想形なのかもしれない。彼らの話を通してそう思いました。それはチームビルディングがその場で機能するだけではなく、その後の学生生活における場の安全性を、彼ら自身が生み出すことにもつながっているように、お二人の話からはうかがえました。


