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学校の組織開発物語

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連載3-1/活動しやすい組織づくりのために心がけたのは「よい聞き手になること」【常磐大学】

23 時間前
読了時間: 9分

常磐大学では2014年に、学生と教職員が協働して「TSS(Tokiwa Student Staff/現:コミュニティサービス連合)」を立ち上げ、学生が主体性を育む活動に取り組んでおられます。

これまで「コミュニティサービス連合」の活動を支える副顧問の関敦央さん(心理臨床センター統括)、ボランティア団体「TRICOLOR(以下トリコロール)」の元リーダー・Uさんにお話を聞きました。今回からは、トリコロールのサブリーダーを務めたYさん(現代社会学科4年)にインタビュー。意外な入部動機から、活動を通じて直面した自身の「弱み」と「強み」への気づき、そして、メンバーの意見を引き出すファシリテーターへと成長を遂げるまでに迫ります。仲間とのさまざまな活動をとおして自己理解を深めるプロセスについて聞いてみました。

(全2回の前半)

 


――まずはYさんのことについて聞きたいのですが、常磐大学を選んだ理由についてお聞かせください。


Yさん 高校時代にアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)に興味を持ち、社会学の観点から広い視点で学びたいと考えるようになりました。常磐大学には相互履修制度があり、他学科の授業も受けられるので、幅広い視点から自分の学びを深めたいと考えて、この学科を選びました。



――アンコンシャスバイアス、その言葉を知ったキッカケは?

Yさん 「ズートピア」というディズニー映画がきっかけでした。例えば、絵本や物語などのフィクションをとおして「キツネはずるい、ウサギは弱々しい」といったイメージを持ってしまいますが、社会でも「女性は家で家事育児をするものだ」などの偏見がありますよね。そういう無意識の思い込みというテーマを社会学の観点から学ぶのは面白そうだと思ったんです。



――なるほど、ありがとうございます。では、本題に入りますが、今回はコミュニティサービス連合の活動についてお聞きしたいと思います。Yさんが活動を始めたきっかけは何だったのですか?


Yさん 私は学生生活を充実させたくて、ボランティア活動を行う「トリコロール」に入りました。動機は不純ですが、当時は所属人数が多く、素敵な先輩がいたからです! 特段ボランティアに興味があったわけではありません(笑)。



――なるほど、そうでしたか。入ってみてどうでしたか?


Yさん 自分が想像していたボランティアとは全く違いました。私はボランティアというと、外部団体がやっているイベントに行って、当日草むしりをするくらいのかな、とすごく軽い感じで捉えていたんです。本当に失礼な話ですが…。

でも、外部のボランティアに行くこともあるんですが、実際は、自分たちで企画から運営まで主体的に関わる活動をしていることが多いことが分かりました。安易に捉えていた自分をすごく後悔して、「これは間違った、大変なところに入っちゃったかもしれない」と思いました。



――イメージと違ったけれど、辞めずに続けられたのはなぜですか?


Yさん 想像以上に奥が深かったんです。活動を通して、今まで知らなかった自分の弱みや、「これ得意かも」という強みなどに気づく瞬間が何度もありました。



――例えば、どんなことに気づけたんですか?


Yさん 自分の弱みとして、「期限を守れないこと」に気づきました。資料作成などの締め切りが間近にならないとやらない、課題と同じで溜め込むタイプなので、2、3日前に始めてギリギリで提出していました。ギリギリでやることで、その後に控えている他のメンバーに迷惑をかけてしまい、「今の自分ダメだな」と作業スケジュールの管理や時間管理の甘さに気づきました。



――それは、人から指摘されて気づいたのですか?


Yさん 自分で気づきました。私の資料提出が遅れたため、次の人が本来なら3日くらいかけられた作業を1日でやらなければならなくなってしまって。「もしかして今、この人に迷惑をかけているかも」と感じたんです。その人はタスク消化が早い人だったので事なきを得ましたが、もし私のようなタイプだったら、どんどん期限が遅れていってしまいます。「この人だったから致命傷にはならなかったけれど、これは良くないことだ」と察しました。

また、人との対話においても、ミーティングで人の話が聞けず、自分の意見を押し通してしまう自分がいました。周りとの協調性についてすごく考えさせられ、「とりあえず人の話を聞こう、人が喋っている時は喋らない」という基本的なところから、自分と格闘する時期がありました。



――逆に、強みだと思ったことはありますか?


Yさん ポスターなどのデザインです。今まであまりデザインに触れることはなかったんですが、企画の広報のためのポスターをつくった時に、「あれ、なんかセンスあるかも」と思ったんです。何でもやってみるタイプで自己肯定感が高いので、「自分はデザインもいける」と気づきました。



――やってみて気づいた新しい自分の一面だったわけですね。


Yさん そうですね。あと、私は自分の中身が空っぽだと思っているので、知識を学びたいという意欲がとても強いんです。スポンジのように新しいことや気になることを吸収していくので、好奇心旺盛さは誰にも負けません。(笑)

それから、負けず嫌いな部分もあるので、「この人のこの部分はいいな」と思うと、自分にも取り入れたくて、「なぜこういう行動を取れるんだろう」と、その人を理解しようとするんです。そういう面で、人を観察する力も私の強みといえるかもしれません。



――活動を通して自分のことも仲間のこともよく見えるようになっていったわけですね。


Yさん 自分の成長を実感したり、新しい学びや知見を得たりすることで、どんどん活動が面白くなっていったんです。学年が上がるにつれて、「次世代のメンバーのために活動しやすい仕組みを整えたい」という情熱に変わっていきました。



――モチベーションが変わっていったわけですね。それはなぜだと思いますか?


Yさん 私が企画をするチーム、つまり組織をマネジメントする側の役職についたことが大きいです。私たちの組織には、企画リーダーを筆頭に、担当リーダー、担当メンバーという具合にいくつも階層があります。担当メンバーには上のことは全然わからず、情報がいわゆる伝言ゲームのように進んでいくんです。私たちが「これをやりたい」と上にあげてもらったはずなのに、違う趣旨で伝わったり、訂正する時もまた伝言ゲームになってしまったりして。だから、自分たちの考えが上に通るような仕組み、現場の意見がマネジメント側に伝わりやすくなるにはどうすればいいんだろうと考え始めました。



――なるほど。自分が「活動しにくいな」と感じた経験から、「活動しやすい組織をつくりたい」という思考に切り替わっていったのですね。組織を変えるために自分なりに工夫したことはありますか。


Yさん ミーティングの時に、相手の意見や考えを引き出す環境作りに徹しました。



――それはなぜですか?


Yさん 学年が上がるにつれて発言はしやすくなりますが、人間誰しも考えていることはあるはずです。私は聞かれなくても自分の意見を言いたいタイプですが、引っ込み思案や、手を挙げられないタイプの子もいますよね。同じ「やりたい」という気持ちが集まっているメンバーなのだから、立場や役職に関係なく、率直に発言できる環境にしたくて。言わなければ何も伝わらないので、聞き手としてのファシリテーターの役割を意識するようになったんです。



――今、「ファシリテーター」という言葉が出てきましたが、それはどこで学ばれたのですか。


Yさん ラーニングバリューさんのリーダー養成研修に参加させていただいた時に、ファシリテーターとしての心得などを学びました。また、コミュニティサービス連合の副顧問の関さんが年に1回、私たちに向けて研修をしてくれるのですが、そこで「ミーティングがうまくいかない原因は何か」を考える機会がありました。対人関係や環境作りの重要性を知り、「これを試してみよう」と思って実践しています。



――リーダー養成研修が役に立っているのでうれしいのですが、研修のファシリテーターはラーニングバリューから派遣されるので、学生さんは研修を受ける立場ですよね?ファシリテーションを受ける側なのに、ファシリテーターとしての学びを深めることができた、とはどういう意味でしょうか。


Yさん 研修でグループワークをする時に、どうしても会話のまとめ役を立てないといけない場面が多々ありました。そういう時に「私やります」と率先して手を挙げ、その場を回すことを通して学んだ知識をミーティングでも実践して、経験を積んでいったという意味です。



――なるほど、面白いですね。ありがとうございます。人の意見を聞くことの大切さや、ファシリテーターとしての役回りを自分なりに意識してやってみて、発見したことなどはありますか。


Yさん ファシリテーターとしてミーティングを進めるにあたっては、準備がすごく大事なんだなと気づきました。良いミーティングにするためには、準備が7割くらいを占めていると思います。私は事前に「今回はこれを決める」「これはみんなに相談したい」といったことを整理して共有しています。議題を組み立てる時には、決める事柄の優先順位や、どこまでこの日に決めるのかというライン引きをしておきます。それに、場の雰囲気作りは当日でもできますが、ミーティングの進め方や意見の聞き方、そして返ってくる意見に対するフィードバックはある程度自分の中で考えておく必要があるからです。「自分はこうしたい」と前もって考えているからこそ、「こういう考えの人もいるだろうな」と予想でき、違う意見が出た時にも自分の考えと融合させてより良くすることができます。



――色々とシミュレーションするわけですね。そういう準備はすごく大事ですよね。ミーティングに参加する人の中で、意見はあるけれどなかなか言い出せない人への対応や接し方で心がけていることはありますか。


Yさん 私は自分のキャラを活かして、「今の話、ついていけてる?大丈夫?」と聞くようにしています。周りが話し合っていても黙ってしまう子がいたら、こっそり隣に行って、「これどう思う?」と声をかけ、相手の考えを引き出すようにしました。私は論理的な会話術で駆け引きするのが苦手で、ストレートに聞くのが一番だと思ったからです。大勢の前で手を挙げられないなら、1対1ならいけるだろうという考えですね。



――気づきを次の実行に活かしていたということですね。Yさんのファシリテーションできっと話し合いも活性化したことと思います。


※肩書・掲載内容は取材当時(2026年4月)のものです。

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