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学校の組織開発物語

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連載1-1/学生広報スタッフの組織化で体現する「学生を成長させる力で選ばれる大学へ」【日本工業大学】

  • 17 時間前
  • 読了時間: 9分

近年、「学生を成長させる力で選ばれる大学へ」のキャッチフレーズを掲げて研究・教育の実践に取り組んでおられる日本工業大学。ラーニングバリューでは、これまでに同大学で学生の課外活動や資格取得講座、初年次教育におけるチームビルディングのお手伝いをさていただいたことがあり、当サイトで「基幹工学部における、チームビルディングを取り入れた教育プログラム開発の取り組み」について取り上げさせていただいたこともあります(連載期間:2020年9月~2021年2月/https://www.l-value.biz/post/nit1-1


今回ご紹介するのは、「学生を成長させる力で選ばれる大学へ」を体現する象徴的な取り組み、オープンキャンパスにおける「学生広報スタッフ」の活動です。かつては教職員主導で行われていた同大学のオープンキャンパスは、現在は学生組織による主体的な運営へと変化しています。2023年に始まった取り組みの背景から、組織運営の課題まで、学生広報スタッフを支える入試部今回ご紹介するのは、「学生を成長させる力で選ばれる大学へ」を体現する象徴的な取り組み、オープンキャンパスにおける「学生広報スタッフ」の活動です。かつては教職員主導で行われていた同大学のオープンキャンパスは、現在は学生組織による主体的な運営へと変化しています。2023年に始まった取り組みの背景から、組織運営の課題まで、学生広報スタッフを支える入試部入試課の課長補佐 小泉拓也さんに話を伺いました。




―― まずは小泉さんのこれまでのキャリアと、現在の役割について教えていただけますか。


小泉さん 最初の就職先はメーカーで、法人営業をしていました。その後、前職の大学に移り、キャリア教育や就職支援といった、いわゆる学生の「出口」に関わる仕事に携わりました。途中で入試広報に異動してからは「入口」の仕事も経験し、2023年11月に日本工業大学に入職して現在3年目になります。



―― 大学職員としてのキャリアでは、出口と入口の両方を経験されてきたわけですね。


小泉さん そうですね。どちらも非常にやりがいのある仕事だと思っています。入職してから2025年11月までは総合企画室の所属でしたが、12月から入試部の所属となりました。本学は入試広報と大学広報が密接に関連していて、部署が変わってもやることはつながっています。私は入職直後から、兼任をしつつ、「学生広報スタッフ」にもずっと関わり続けています。オープンキャンパスもすべて参加しているので、学生広報スタッフの活動はずっとウォッチしてきました。部署がどこかという縦割りの話ではなく、ラーニングバリューさんにお世話になりながら一緒に学生広報スタッフのサポートを行っています。



―― そもそも、「学生広報スタッフ」を立ち上げた背景について、小泉さんはご存知ですか?


小泉さん 「本学の自慢は何と言っても学生!」ということで、当時の入試部長と入試課長の方針が一致し、中期経営計画の中に、「学生を成長させる力で選ばれる大学へ」という言葉があるのですが、「それを象徴するような何かが欲しいね」という議論が学内で起こったんです。ちょうどその頃、組織改編や人事異動があった2023年3月オープンキャンパスのタイミングで、当時の入試課長と入試部長から、「本学の自慢は学生」ということで、「学生主体のオープンキャンパスをやろう」という声があがって。他の大学ではよくあることかもしれませんが、理系の大学では学生が前に出て主体的に動くケースは比較的少なくて。そこを強みにできないかと考えたそうです。



―― それまでのオープンキャンパスは、どのような運営だったのですか?


小泉さん 私が知る限りでは、統一感がなかったみたいですね。学科ごとに学生を集めてきて、当日は単なる「当日のアルバイト」として働いてもらう。職員も、なんとなく他部署の人が応援に来て誘導をしているだけで、全体としての組織的な動きはなかったそうです。

そうなると、学生にはやらされ感が出ますし、だれてしまう。職員側も接遇がいまひとつで、全体としてホスピタリティに欠ける状態だったと聞いています。やっぱり本学の売りは「学生の成長力」ですから、学生主体のオープンキャンパスを実現して、彼らの姿を参加者に見てもらおう。それが当時の入試部長・入試課長の考えでした。



―― 学生広報スタッフという組織が本格的に立ち上がったのはいつ頃ですか?


小泉さん 組織として動き出したのは、私が入職する前の2023年の春です。当時2年生になりたてだったKくんが立ち上げメンバーとして参加し、前の入試課長と二人三脚で進めていくことになりました。実は、入試課長もKくんも、非常に強いリーダーシップを発揮するタイプで、二人がぐいぐい引っ張ることで、なんとか1年間を駆け抜けることができたんだと思います。



――強力なリーダーがいると、立ち上げ期は進みやすいですよね。1年目は「個の力」で乗り切ったといえそうですね。


小泉さん 問題は2年目でした。2024年、学生広報スタッフは2年目を迎え、4月から私と佐藤が深く関わるようになりました。6月に年度初となるオープンキャンパスがあったのですが、そこで組織が思うように回らず、パンクしてしまったんです。ここが大きなターニングポイントでした。



―― 具体的に何が起きたのでしょう。


小泉さん 準備段階から、Kくんにすべての負荷がかかってしまったんです。彼は責任感も強いし、ホスピタリティもすごい。頭の中には「こうしたい、ああしたい」という理想や手順が全部入っている。でも、それが他の学生たちに共有されていなかったんです。

係や役割分担が明確に決まっていたわけではないので、指示系統が機能しない。Kくんが一生懸命指示を出そうとしても、学生間での連携が取れず、情報が下まで降りていかない。結果、彼一人が抱え込んでしまい、周りの学生はどう動いていいかわからない…そんな状況に見えました。



―― 年度が変わって参加メンバーも変わったのでしょうから、今まで通りのやり方では進まなくなったんでしょうね。


小泉さん 人間関係のトラブルや準備のごたごたもあって、当日の運営も混乱しました。6月のオープンキャンパスのアンケート結果を見ても、接遇の評価があまり高くなかった。私も佐藤も担当になったばかりで、どこまで介入すべきか手探りだったこともありますが、Kくんが学生間の連携に苦労しているのが見て取れました。前任者の職員と同じような強いリーダーシップで引っ張るやり方は私たちにはできないし、組織としても持続可能ではない。そこで、佐藤と二人で「これまでとは違う形で学生を支えられないか」と真剣に考えるようになりました。



―― その状況をどのように立て直していったのですか?


小泉さん Kくん一人に情報や役割が集中してしまう構造に課題があると考えました。最初のオープンキャンパスの反省を踏まえて、2回目以降は誘導係、受付係など明確な役割分担を行い、それぞれの係にリーダーを立てることにしました。Kくんに情報を集めるにしても、彼が全員に指示を出すのではなく、各係のリーダーが核になって動けるように組織における役割を決めたんです。



―― 「情報の分散」と「役割分担」を行い、オペレーションレベルでの組織化を行ったわけですね。2回目以降は改善されたのでしょうか?


小泉さん そうですね。上級生だけでなく、新しく入ってきた後輩たちも、「自分はこの係の担当だ」という自覚が芽生え、責任を持って動いてくれるようになりました。リーダー同士のコミュニケーションには一部課題もありましたが、以前のように「すべての情報ややるべきことは、全体リーダー一人の頭の中にしかない」という状況は解消されました。



―― 組織として機能し始めたことで、外からの評価にも変化はありましたか?


小泉さん オープンキャンパスの参加者データを分析すると、参加者が増えているし、複数回参加してくれるリピーターの高校生も確実に増えていることがわかりました。





―― 私もアンケートのコメントを拝見したのですが、「学生さんが親切だった」「学生が意欲的に取り組んでいた」といった声があり、学生の頑張りが高校生に響いているのがわかります。単にイベント運営のスキルが上がっただけでなく、学生たちが組織として機能した成果ですね。


小泉さん ラーニングバリューさんに研修をしっかりやっていただいている影響も大きいと思います。研修のプログラムも組織づくりや学生に身につく力について考えながら、ラーニングバリューさんと一緒につくっています。理系なので学生たちが一堂に集まる時間をつくるのは難しいのですが、年間7~8回にわたって、土曜日を主に丸一日かけた研修を行っているので、そういう成果も表れ始めていると感じています。



―― 研修のお話が出ましたが、学生広報スタッフへの研修はどのように設計されているのでしょうか。


小泉さん 私たちが学生広報スタッフの担当になった当初はかなりの自転車操業で(笑)。その都度、ラーニングバリューさんと「次はどうしようか」と話し合って、とりあえず研修を行っていたという感じです。ただ、1年間継続して行ったことで新たな課題も見えてきました。1年目から参加している学生たちから、「忙しいのに、2年目もまた同じ研修に行かなきゃいけないの?」という声が上がり始めたんです。



―― なるほど、彼らにとってみれば、「もう知っていることを、またやらされる」感覚で、そうなるとモチベーションの維持も難しくなりますよね。


小泉さん そこで、2025年からは研修を体系化したんです。「上級生には上級生なりの、初めての人には初めての人なりの、力が身につくんだ」ということを明確に整理し、意味づけをしたのです。


 


―― 具体的にはどのように整理されたのですか?


小泉さん 学生がこの活動に参加することで身につく力を、「対個人」と「対組織」の2軸で整理しました。たとえば、参加初年度の学生にまず身につけてほしいのは「顧客対応力」です。マナーや質問対応など、目の前の高校生に向き合う力ですね。一方で、上級生になるにつれて求められるのは「組織開発力」です。チームビルディングやファシリテーション、後輩への指導力など、チーム全体を動かす力です。これを図解して、「学年が上がるごとに、こういうキャリアパスで力が伸びていくんだよ」と学生に説明しました。


 



―― なるほど。「同じ研修」ではなく、「違う視点を獲得する場」だと再定義したわけですね。


小泉さん そうです。上級生には、後輩を支援することが、結果として自身の社会人基礎力を高めることになり、社会や企業から重宝される理系の人材としてプロフェッショナルになるためには、専門性だけでなく、こういうスキルが強みになるのだ、と。まだ学生全員に浸透しきっているとは言えませんが、これを提示したことで、みんなが研修に参加する意義を少しずつ理解してくれるようになってきたと感じています。



(連載1-2へ続く)


※肩書・掲載内容は取材当時(2026年2月)のものです。


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